~目次~
帽子とは?
帽子とは一般的には頭にかぶるものとして定義されていますが、その目的は実にさまざまであったりします。ファッションをはじめとし、制服であったり、身分をあらわす象徴であったり、日よけや頭部を守るための機能的なものであったり。現在でも、ストリートファッションのバケットハットから、飲食店の制帽のハンチング、リゾート地での日焼け防止の麦わら帽、マラソンでかぶるキャップなどそのシーンや用途はいろいろです。
帽子の名称について
帽子にはそれぞれ専門の用語があります。一般的に使用するものから聞きなれないものまであります。
つば=帽子のひさしの部分。ブリムとも言います。キャップやハットについている日よけの部分です。
クラウン=帽子のボディになる部分。いわゆる頭を覆いかぶさっている部分で王冠であるクラウンから来ていると思われます。
天ボタン=キャップの一番てっぺんの部分にある丸いボタンです。縫い目を補強したり、仕上がりがきれいに見えるように取り付けられています。まれに天ボタンがないデザインのものもあります。
コシ(腰)=ハットなどにあるブリムの上(クラウンの下)にあるクラウンを一周巻いた布地の部分になります。主には仕上がりの良さ(デザイン的な部分)と補強のような役割になります。あるとのっぺりとした印象でなく立体的なデザインとなります。
シコロ=ニット帽の折り返しの部分。ニット帽にボリューム感が出ます。
梵天(ぼんてん)=ポンポンニットのてっぺんの丸い部分。
スベリ・ビン革=帽子の内側の額やおでこなどが当たるテープ部分。こちらがあることでサイズ感が安定し、汗を吸い取るので帽子の生地が傷みにくいといった利点があります。吸湿速乾性の素材を用いることもあります。スウェットバンドともいいます。
巻(マキ)=フェルトハットなどのリボンの部分。グログランテープなどが用いられます。
渡し(わたし)=巻のつなぎ目を隠すために主に使われる布地の部分です。
ピンチ=ハットのつまみとなる部分。先端のへこみ。こちらを最初に考案したのがイタリアのボルサリーノ社ともいわれています。
帽子の歴史について
日本の帽子の歴史
日本の帽子の歴史がどこからかは正確なところはわからないものの、有名なものでは烏帽子などが平安時代からかぶられていたとされています。その後は笠などをかぶる文化があったものの、大きく変化したのは明治以降とされます。断髪令でザンギリ頭になってから、西洋の帽子が輸入され、また日本でもつくられるようになってきます。「帽子をかぶらないのはありえない」と言われるくらい帽子をかぶる割合は9割を超えた時期もあったようで、帽子をかぶることが紳士のエチケット・マナーとなっていた時期もありました。昭和初期までは非常に帽子をかぶる人が多かったようで、戦後から徐々にその人数は落ち着いてくるようになってきました。平成に帽子ブームなどが起こり、現在では個性を表現するファッションアイテムのひとつとして定着しつつあるようです。
世界の帽子の歴史
世界でも宗教的なシーンや軍隊の帽子などさまざまなシーンで帽子はかぶられてきました。王冠などもあるように、権威の象徴としてかぶられるようなものもありましたが、現在の帽子につながるもととなったのは18世紀から19世紀にかぶられていたシルクハットなどが原型となっています。ハットなど正装としてかぶられていましたが、狩猟用にハンチングがつくれるようになり、現在のキャップへとつながっていきます。
帽子の種類について
帽子の種類は本当にさまざまですが、大きくわけるといくつかのかたちに分類できそうです。大きくわけると中折れ帽のようなツバがついたハット、一部にツバがついたキャップ、ハンチング、キャスケット。そしてベレー帽やニット帽といったツバのないかたちです。あとはツバのかたちやトップのかたちなどでそれぞれの名前がついています。
帽子のシーズンについて
主に素材、デザインなどによって推奨の季節を表記しております。
- オールシーズン可・・・年中通じてかぶれる綿素材などが中心です。
- 主に春夏向け・・・麻や絹などの天然素材や薄手のもの、風通しの良いものなどが中心です。
- 主に秋冬向け・・・フェルト素材やウール素材、厚手のものなどが中心です。
上記のものは(夏物のサマーウールなどあるので)必ずしも絶対的なものではありませんが、一つの目安としてご参考ください。
帽子のお手入れについて
帽子のお手入れ方法、洗濯、保管の仕方
帽子を購入したあとは、お手入れやメンテナンス、しっかりとした洗濯や保管をすることで帽子が長持ちします。
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洗濯できない帽子の場合
- 基本的に洗濯ができません。
- 帽子の汚れは額から出る汗で汚れることが多いので、額や頭と接する場所を、かたくしぼった濡れタオルなどでこまめにふき取ってあげることが大事です。あとは市販の消臭除菌スプレーなどで対応をします。(目立たない部分で試してください。)軽微な染みなどでない汚れであれば消しゴムで落ちる場合もあります。こすりすぎは生地を傷めますので角などでそっとこすってみて下さい。ファンデーションや強い汚れの場合はベンジンなどでとることもできますが、変色などをおこす可能性があるためにあまりオススメではありません。
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洗濯できない主な素材 綿(※)、麻(※)、絹(※)、天然素材(ストロー、ラフィア、シゾール、アバカ、バオ、パナマ)、ペーパー、ウール(※)、アンゴラ(※)、モヘア(※)、カシミア(※)、アルパカ(※)、ファー、レザー、ポリエステル(※)、アクリル(※)、ポリウレタン、レーヨン(※) 洗濯できない主な帽子 ハンチング(※)、キャスケット(※)、ニット帽(※)、キャップ(※)、ストローハット、中折れハット、サファリハット(※)、ポークパイハット、ベレー帽(※)、サンバイザー(※) ※上記はあくまで目安です。正しくはお帽子の洗濯表示をご参照ください。
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手洗い可能な帽子の場合
汚れが目立つ箇所はえりそで用部分洗い剤などをつけ、汗ジミなどがある場合は液体酸素系漂白剤か、しみ用の部分洗い剤をつけます。30℃くらいのぬるま湯か水につけ、押し洗うようにそっと手で洗濯します。
(※洗濯機を使用すると型崩れなどをおこしますのでお控え下さい。)洗い終わったら水ですすいだ後に、タオル等で水気をとり、自然乾燥・陰干しします。
このときにシワを伸ばし、帽子の中にタオルや調理用ザルなどを入れて形を整えて乾燥させます。きちんと整えて乾燥させないと縮みなどの原因にもなります。
(※洗濯機での脱水、天日干しは型崩れなどをおこしますのでお控え下さい。) -
手洗い可能な主な素材 綿(※)、絹(※)、ウール(※)、アンゴラ(※)、モヘア(※)、カシミア(※)、アルパカ(※)、ポリエステル(※)、アクリル(※) 手洗い可能な主な帽子 ハンチング(※)、キャスケット(※)、ニット帽(※)、キャップ(※)、サファリハット(※)、ベレー帽(※)、サンバイザー(※) ※上記はあくまで目安です。正しくはお帽子の洗濯表示をご参照ください。
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ドライクリーニング可能な帽子の場合
お近くのクリーニング専門店でご相談されることをオススメします。
お店によっては、フェルトなどの帽子でもクリーニング後に型入れできる店などもあるようです。 -
ドライクリーニング可能な主な素材 麻(※)、絹(※)ウール(※)、アンゴラ(※)、モヘア(※)、カシミア(※)、アルパカ(※)、ポリエステル(※)、アクリル(※)、レーヨン(※) ドライクリーニング可能な主な帽子 ハンチング(※)、キャスケット(※)、ニット帽(※)、ベレー帽(※) ※上記はあくまで目安です。正しくはお帽子の洗濯表示をご参照ください。
保管方法について
帽子は直射日光、湿気や水気に弱いものが多いので、日の当たらない風通しの良い場所に保管されるのが良いと思います。箱に入れる場合、ウールや天然素材のものは防虫剤を忘れずにお入れ下さい。
帽子の中にクッションや紙を入れておくと、型くずれの防止にもなります。
帽子の数え方について
帽子の数え方は1個、2個、3個・・・(または一つ、二つ、三つ・・・)と通常の個数を数える時と同じです。
似合う帽子の選び方について
帽子をかぶる際には、似合う帽子を選ぶコツというのがあります。主には帽子のサイズと顔の輪郭など顔のかたちにあわせた選び方です。
似合う帽子のかぶり方について
帽子を選んだあとは、それぞれのベストのかぶり方をすることでより似合う帽子となります。主に角度や向き、深さがポイントとなってきます。
帽子のブランドについて
帽子にもブランドがあります。世界最古の帽子屋といわれているのは1676年に設立されたジェームス・ロック・アンド・カンパニー・ハッターズ(James Lock & Co. Hatters)といわれています。各メーカーによってそれぞれの特色がありますので、比較してみるのも面白いでしょう。